園芸家12か月
2014年 12月 21日
2冊目は
園芸家12か月 カレル・チャペック 著 ・小松太郎 訳
チェコの作家で、有名なカレル・チャペックさんは実は園芸が大好きな人だったようです。
1月の園芸家から始まり、12月まで、1年を通した園芸家の作業や園芸家の心情を
ユーモラスに書いているのですが、もうとにかくその文章が素晴らしいのです。
” 「園芸家にとっては一月という月もけっしてひまではない」と、園芸の本には書いてある。
たしかにそうだ。一月は、天候の手入れをする月だから。天候ってやつは妙なものだ。
ぜったいに順調ということがない。 ”
もう、たまりません!軽妙な語り口で書かれているこの本、一行目から頷かずには
いられないほど、園芸家のことをよく現しています。
” 雪の降り方がすくないと、降りたらんと言って不平をいう。多すぎると、松柏類やバラが
折れなきゃいいがと言って大さわぎをする。
ぜんぜん降らないと、寒害でやられるかもしれんと苦情をいう。
雪どけになると、それにともなってやって来る気ちがい風をのろう。
一月に太陽がさそうものなら、園芸家は、樹液があまりにも早く動き出してはと、
頭をかきむしって気をもむ。 ”
園芸家の心情をよくついています(笑)
この本を読んで、「あー私って、完璧に園芸家だ!」と思ってしまうくらい、
1月から12月までカレル・チャペックさんと同じような事で不平を言ったり、気をもんだり
いそいそしたり、しております(笑)
園芸にはまってしまった人にぜひ読んでもらいたい1冊です。
何度も笑っちゃうし、頷きっぱなし。。。
笑いも「イヒヒ。。。」って感じの笑いです(笑)
そして、最後には自分の事がちょっと好きになっているはず。
しばらく読んでいなかったので、だいぶ内容を忘れていたのですが
改めて読み返してみましたら、
「私か!?」という場面があまりにも多すぎて、お腹が痛くなりました(笑)
今まで、このどうしようもない園芸に対する自分の性格をどうしたものか。。。と
ちょっと持て余し気味だったのですが、これは仕方がないんだな。と思えます(笑)
” われわれ園芸家は未来に生きているのだ。バラが咲くと、来年はもっときれいに
咲くだろうと考える。10年たったら、この小さなトウヒが1本の木になるだろう、と。
早くこの10年がたってくれたら!50年後にはこのシラカンバがどんなになるか、見たい。
本物、いちばん肝心のものは、わたしたちの未来にある。
新しい年を迎えるごとに高さとうつくしさがましていく。ありがたいことに、わたたちは
また一年歳をとる。 ”
最後の「園芸家の生涯について」で、カレル・チャペックさんはこう締めくくっています。
この本、挿絵も超可愛いです。
カレル・チャペックさんのお兄さんの絵だそう。
ユーモアいっぱいの、愛すべき園芸家のための本だと思います。
そして、お客様たちには この本をぜひ読んでいただいて、私という人間について
知ってもらえたらとも思います(笑)