お庭のこと①
2013年 06月 05日
などと、ご依頼いただきます。
大変光栄なのですが、残念ながら、私、造園関係やガーデニングの勉強をして
おりませんので、そういうことはできないのです。申し訳ございません。
ただ、私は、お庭は少しずつ自分たちで作っていって欲しいな。という考え方です。
私自身、種苗店の娘のくせに、実家に戻った時は全く植物の知識はありませんでした。
お店を継ぐ気も、さらさらありませんでしたしね(笑)
帰国直後は体調不良もあり、お店の事務仕事の手伝いをし、後はお庭の草むしりを
していました。当時、お庭には売れ残りのお花の鉢植えをひとまず置いておいたのが
枯れました。というような鉢が何百個も埋まっていて、
それを1個1個掘り上げては捨てるということを 毎日毎日やっていました(笑)
別に誰に頼まれた訳でもなく、ただ暇だったのでやっていたのですが、
その時、土に触れ、地面に膝をついて、外で過ごしている時は なぜか、体調不良は
気にならなかったのです。
お庭に植わっている植物が なんという名前なのか分からなくても、「可愛いお花だな」とか
「これはステキ」と、感じることはできます。
そのうち、もっとお庭をかわいくしたいと思うようになりました。
お庭の本や雑誌を良く見ました。特に好きだったのはBISES(ビズ)、海外の素敵なお庭は
写真を眺めるだけでもワクワクしました。
少しずつ、お庭の整理をして、スペースを作り、まずイングリッシュラベンダーを花壇の
縁沿いに、5株ほど植えてみました。
その、スペースをハーブのお庭にすることにして、今まで植わっていたお花を別の場所に
移植しては、空いた場所にハーブを植えました。
当時はハーブがどのくらい広がるかなども、分かっていませんでしたので、小さい苗を3個
くっつけて植えたり、背の高くなるものと、低いものをお隣同士に植えたりもしました(笑)
一番驚いたのはマロウです。
売れ残った、もう葉っぱも黄色くなったようなコモンマロウの苗をダメもとで、お庭に
植えておいたら、翌年自分の背丈以上に大きくなって、小さな苗でも、こんなに大きくなるのか。
ということを知りました。
その頃、取引先の展示会などにも、私が行くようになり、そこで初めて宿根草を知りました。
花など咲いていない草みたいなものでしたが、生産者の方が丁寧に、「これはお花が
かわいい」とか、「こんなに広がる」とか、教えてくれましたので、おススメのものを
いくつか仕入れてみたら、届いた苗は小さなポットに入った、やっぱり、ただの草みたいな
ものでした。
さっぱりわからないので、まずは実験がてら、1個ずつお庭に植えてみました。
その年はそのままちっとも大きくならないものもありましたし、1,2個お花が咲いたものも
ありました。
ところが、翌年、どれも植えたものの倍以上に、大きく広がって、こんもりと茂ったり、
背が高くなったり、そして、時期がくるとかわいいお花が咲きました。1輪づつ順番に咲く
ものもあれば、一斉に次々と咲き続けるものもあります。
決して、一年草のお花の様に いつまでも咲き続けるわけではありませんが、
その、かわいらしい紫やオレンジ、白のお花にすっかり虜になってしまいました。
なんといっても、春、雪がとけて、何もない地面から新芽が出て、その新芽が毎日見るたびに
大きくなって、そのうち、蕾があがってきて、今日か明日かとお花が咲くのを待ちわびて、
そして、そのお花が咲きだした時の感動は 毎年、毎年、同じようにうれしい瞬間です。
お花の咲く期間は1週間とか、せいぜい10日程度と短いのですが、あー枯れてしまったなっ
と思う頃に、別のお花が咲きだして、季節ごとにお庭が変化するのも楽しみでした。
毎年、少しずつ仕入れる宿根草が増え、新しい苗は必ずお庭に植えて観察し、1年目
2年目の成長具合を確かめました。お花の本もどんどん増えていきました。
お店の仕事は 中々理想どうりにはいかないことも多いので、「年がら年中咲いてくれて、
だまっていても勝手に来年も出てくるやつ、どれ?」と言われたり、一生懸命お世話して
可愛くなったなと思っていても、「なんで、こんなに高いの?」と、言われたりするたびに、
お店を辞めたくなりました。
でも、そんな時は録画したイギリスのガーデン特集の番組や、ターシャテューダーさんの
DVDを見ると、心が洗われるようで、「よーし、もっともっと頑張って、函館でも可愛いお庭を
作れるように、ステキなお花を集めなくては。」っと、決心しました(笑)
植物の知識が増えてきてから、ガーデニングの番組や本を見ると、なるほどー、
あのお花と、このお花を組み合わせると、こんなに素敵なんだなとか、どおりで、あの背の
高いお花も、こんな風にひと工夫しているから、きれいに保てるんだとか、増々理由が
分かってきます。
お庭の植物たちも、日当たりの具合や横の植物たちとの兼ね合いなどで、微妙に移動して
みたり、信じられないほど良くなるものもあれば、消えてしまうものも出てきます。
ターシャテューダーさんは 新しいお花を自分のお庭に植える時に 最低3か所に
植えてみるそうです。そして、一番よく育った場所に、改めてお花を植えるそうです。
そして、お庭は今日明日で完成させるものではなくて、3年、5年、10年と年数をかけて
植物たちと一緒に協力し合って作りあげるものなのではないかなっと思います。
私のお友達は念願のお家を建てて、悩んだ末に、やっぱり、せっかくだから、お庭も
理想どうりの素敵なお庭にしたいと、100万円もかけて、ガーデンデザインをしてもらい
植栽してもらいました。出来たところで、私も見に行きました。
確かに大金をかけただけはありました。1つ1つ、雑誌に出てくるような品種ばかりが
パッチワークのようにキレイに植えられていて、バラもアーチにからまり、「うんうん、とっても
良いものばかりが植えられているよ。」と感心して、帰ってきたのですが、
冬が来て、翌年半分が消えてしまったそうです。
その残念な報告を聞いて、やはり、お庭はコツコツと自分で作っていくものだと思いました。
レンガをひいたり、形を作ってもらうのはプロにお任せするのは良いと思いますが
植物を植えていくのは 出来たら、少しずつでも自分でやられるといいと思います。
なぜなら、これから育てていくのは ご自分なのですから。
皆さんがその植物の事を知らずに、どうやってお世話ができるのでしょうか?
イギリスの有名庭園のように、専用の庭師さんを雇えるのであれば、かまいませんが(笑)
お庭は手をかけなければ良くなりません。宿根草といえども、一生ではなく、それぞれ寿命が
ありますし、毎年違ったお手入れが出てきます。
きれいなお庭をされている方は、涼しい顔をされていても、そうとう手をかけているし
お金もかけていると思います(笑)
そして、始めからプロのようになんて、思わずに、まずは何か植えてみると良いと思います。
そして、その植えた植物のお世話をしていくうちに、自分自身が成長して
こうしたいとか、こうしたらどうだろうかという理想も変化してくると思います。